12月19日(土)、よこすか芸術劇場にて「蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐」“Blue Field”~Finale~が開催された。キャラクターソングのライブ開催はTVシリーズ放送中に開催されたLIVE “Blue Field”以来、約2年ぶり。10月に公開された劇場版完結編「Cadenza」の熱がまだ冷めきらないなか、「~Finale~」のタイトル通り、最後を迎えることを惜しむファンの声が開演前には聞こえてくる。それでも作中に登場した横須賀の地においてキャラクターソングフェスの形で締めくくれることに心の置き所を見つけたようすでもある。円形の劇場には“霧”をイメージしたかのようなスモークが焚かれ、千早群像のナレーションとともに、ついに幕が開いた。
トップバッターは、多くの来場客にとって予想外であっただろう、Blue Steels<千早群像(CV:興津和幸)、橿原杏平(CV:宮下栄治)、織部 僧(CV:松本忍)>。作中の千早群像をイメージしたブラックのスーツにカラーシャツを着こなした3人が登場すると会場は大きな歓声に包まれる。前回のTridentのライブから使用されたファンが持つ無線式のサイリュームが青と紫に輝き、彼らのエモーショナルで厚みのある歌声にボルテージが一気に高まっていく。これまでのTridentライブ出演でのステージングで客席を盛り上げるパフォーマンスを熟知している彼らはクラップやコール・アンド・レスポンス、そして“群像ラップ”で湧かせ、このフェスのオープニングを大いに盛り上げた。続いて登場したのは、八月一日静(CV:東山奈央)×四月一日いおり(CV:津田美波)のイ401女性クルーのペア。花のヘッドドレスにフリルをあしらった可愛らしい衣装で登場し、スピード感のあるトランスナンバーの「Expose」と、「“Blue Field”キャラクターSongs Vol.2」で新たに収録された「With you forever」をイノセントな声でキレのあるシンメトリーなダンスで披露。同曲のサビ「ずっと一緒だよ」のリプライズはファンの今の気持ちに強く刺さったことだろう。
キリシマ(CV:内山夕実)×刑部蒔絵(CV:原紗友里)はふたりの可愛らしい関係性を歌った「メンタル」を元気いっぱいに熱唱しハッピーな空気を作り上げる。さらに新曲「トモダチ」ではハルナ(CV:山村響)が加わり「刑部家」となり、キャラクターらしさいっぱいの歌声や作中にリンクするセリフでくすぐり、互いに方に手をやる視覚的なパフォーマンスを見せた。続いて登場したのはヒュウガ(CV:藤田咲)。「Miracle」ではヒュウガの明るさと切なさという二面性を歌声で表現。さらに次の「Ray of Hope」では作中の名コンビであるタカオ(CV:沼倉愛美)とともに伸びやかな歌声を披露し、息の合ったパフォーマンスで客席を煽りヒートアップさせて魅了した。
MCを挟み、アニメの各種名場面がスクリーンに映し出されると客席がざわめき始める。その予想の通り、シークレットゲストとしてナノがステージに上ると、最大級の拍手と熱気が会場に発生した。TVシリーズの主題歌「SAVIOR OF SONG」のスピード感とアッパーさはファンの体中に染み付いていることだろう。拳を突き上げ、声を張り上げてそれに応える。劇場版「DC」の「Rock on」でもパンチのある歌声を披露。MCでもロックライブの熱量で「ステージに立つまで少し心配だったのですが、みんなの声を聞いてそんな不安はブッ飛んでいきました!」と盛り上げ、客席からも「ありがとう!」の声が飛ぶ。そして「Cadenza」の終盤を彩った「Last Refrain」を映像とともに深い歌声で再現すると観客もそれに引き込まれ、感動的な空気が会場を包んでいった。
続いてはイオナ(CV:渕上舞)が「Cadenza」劇中をイメージさせる白いドレスで登場し、ヤマトと通じ合う歌の「さようなら」を、深い歌声で歌い継いだ。Tridentのときとはまた違う側面を見せる、キャラクターソングらしいパフォーマンスが表れていた。手元のサイリュームがオレンジ色に輝くとともに登場したのは霧の生徒会<ヒエイ(CV:M・A・O)、ミョウコウ(CV:福原綾香)、ナチ(CV:佐藤聡美)、アシガラ(CV:三森すずこ)、ハグロ(CV:五十嵐裕美)>のフルメンバー。キャラクター性あふれる歌いまわしで各々のらしさあふれるパフォーマンスを可愛らしい楽曲に乗せ、5人のコーラスを重ねあわせていく。ステージ上では劇中とは打って変わって統一感のあるフォーメーションが見せ場になっていた。
この日、よこすか芸術劇場の音響をとりわけ強く感じることができたのはTrident<イオナ(CV:渕上舞)、タカオ(CV:沼倉愛美)、ハルナ(CV:山村響)>の「Blue Snow」だ。冒頭のベースが体感的にも響き渡り、落ち着いた歌声をそれぞれが紡いでいく。楽曲が展開するとこれまで二度のソロライブを成功させているTridentは経験値の高さを見せる充実のパフォーマンスで笑顔を振りまき、観客の心を掴む歌唱を見せていく。「Cadenza」エンディングテーマ「Blue Destiny」も、すっかり自分のものとしたステージングで見せ、さらに1stシングルカップリングのバラード「Innocent Blue」を投入し、一音一音を確かな歌声で届け、ファンの感動を誘った。つづくトークパートでは生徒会の5人が初めて勢揃いしたということで、劇中の「霧の風紀は地球の風紀」を再現して笑いを取ったり、各々収録の裏話などを語った。
本編最後はステージ上に全員が一列に並び、Blue Steelsが前面に立ち「蒼き空の下で」を感動的な雰囲気の中で披露。興津が「みんな一緒に歌ってくれるか!?」とシャウトし、宮下・松本は客席に降りてファンと触れ合いながら、熱唱。会場中がクラップしながら、女性陣はラップ箇所に参加し、一体となって盛り上げた。アンコールに応えてのカーテンコールではキャストが作品との思い出を存分に語り、なかにはこれまでの時間を思い返して感極まるキャストも多々おり、作品への熱量を強く感じさせ、フィナーレに向けてファンと気持ちをわかち合う時間を過ごしていた。オーラスは「イ401発進!」「きゅうそくせんこー」の掛け声とともにTVシリーズエンディング主題歌・Tridentの「ブルーフィールド」を、名残惜しさを振り払いつつ熱唱し、会場に一体感あふれるコールと歌声を響かせてフィナーレイベントを締めくくった。
<セットリスト>
1.アルペジオ/Blue Steels<千早群像(CV:興津和幸)、橿原杏平(CV:宮下栄治)、織部 僧(CV:松本忍)>
2.変わらない場所/Blue Steels<千早群像(CV:興津和幸)、橿原杏平(CV:宮下栄治)、織部 僧(CV:松本忍)>
3. Expose/八月一日静(CV:東山奈央)×四月一日いおり(CV:津田美波)
4. With you forever/八月一日静(CV:東山奈央)×四月一日いおり(CV:津田美波)
5.メンタル/キリシマ(CV:内山夕実)×刑部蒔絵(CV:原紗友里)
6.トモダチ/ハルナ(CV:山村響)×キリシマ(CV:内山夕実)×刑部蒔絵(CV:原紗友里)
7.Miracle/ヒュウガ(CV:藤田咲)
8.Ray of Hope/タカオ(CV:沼倉愛美)×ヒュウガ(CV:藤田咲)
9.SAVIOR OF SONG/ナノ
10.Rock on/ナノ
11.Last Refrain/ナノ
12.さようなら/イオナ(CV:渕上舞)
13.Will fade away/霧の生徒会<ヒエイ(CV:M・A・O)、ミョウコウ(CV:福原綾香)、ナチ(CV:佐藤聡美)、アシガラ(CV:三森すずこ)、ハグロ(CV:五十嵐裕美)>
14.Blue Snow/Trident<イオナ(CV:渕上舞)、タカオ(CV:沼倉愛美)、ハルナ(CV:山村響)>
15.Blue Destiny/Trident<イオナ(CV:渕上舞)、タカオ(CV:沼倉愛美)、ハルナ(CV:山村響)>
16.Innocent Blue/Trident<イオナ(CV:渕上舞)、タカオ(CV:沼倉愛美)、ハルナ(CV:山村響)>
17.蒼き空の下で/ALL
EC.ブルーフィールド/ALL
TEXT:日詰明義